2009年12月25日金曜日

平将門伝奇考・8 タタラとの附合

 百足は産鉄民との関わりが深い。
金鉱脈に群がっていたという伝承も多い。
例えば、後年、武田信玄は金鉱などの掘削作業を主とする者たちを、戦場での土木工作専門の部隊として組織した。
この部隊は百足衆と呼ばれた。

 百足は金属を好むと考えられていたのだ。
あるいは、坑道から鍬などを担いで、ぞろぞろと作業員が出て来る姿が百足を連想させたのかもしれない。

 将門が矢を受けた部分には諸説あり、そのひとつに「片目を射抜いた」というものがある。
「片目」もまた、タタラを示すキーワードである。
常に同じ方の目で蹈鞴の炎を覗き込む彼らは、一方の目を失明する事が多かったからである。
さらに、同じ足で鞴を踏み続ける結果、片脚が不自由になる者も多かった。
片目・片脚はタタラを示すキーワードだったのだ。

 この「片目を射抜かれた」という伝説は、将門=タタラという図式を意識する者の創作であろう。

 ここで気になるのが、俵籐太の百足退治の伝説である。
「魔除けの唾をつけた矢尻」に射抜かれたのは大百足、そして将門である。
ここにも将門=百足=タタラの図式が垣間見える。

 そして、首塚にはたくさんの蛙の像が配されている。
これは瀧夜叉姫の変化したものが蝦蟇であったので、それにちなむという説もある。
しかし、蛙もまた産鉄民を示すギミックであるのだ。

 他にも将門にまつわる様々な伝説のなかに、将門=タタラを結び付けるものは多い。
それだけではなく、将門ゆかりの神社・仏閣にもタタラのギミックが多く散在する。
現実問題として、将門と産鉄民族の繋がりを示す文献はない。
にも関わらず、この奇妙な附合は何であろうか?

 さらに項を改めて考えてみたい。
この項の補足として、瀧夜叉伝説を簡単に紹介しておこう。

 将門が討たれ、一族郎党は滅ぼされた。
しかし、難を逃れた将門の三女・五月姫は怨みを忘れなかった。
彼女は貴船神社に丑三つ参りをして、妖術を授かる。

 そして、瀧夜叉姫と名を変えて、相馬の城で朝廷転覆の乱を起こす。
朝廷は大宅中将光圀・山城光成に勅を下しこれを討伐する。
妖術対陰陽の激しい戦いの末、瀧夜叉は討たれて将門の元に昇天する。
この妖術合戦のおりに瀧夜叉が変じたものが大蝦蟇である。

2 件のコメント:

mokko さんのコメント...

オオーw(*゚o゚*)w

将門=百足=タタラ
そんな事、考えもしなかったですよ
瀧夜叉姫の話も全く知りませんでした。
妖術VS陰陽だなんて、こんなオイシイ話はないですねぇ~

将門伝説恐るべし!
っていうか調べてるmirokuさんの方がすごいわぁ~
じゃんじゃん掘り起こしてください!
もう楽しすぎますv(〃>∇<〃)v

miroku さんのコメント...

最後に画像をまとめてUPする予定です。
瀧夜叉も浮世絵もあって、なかなか良いですよ♪
で、タタラ…。 文献はない。 …でも、実は資料を持っているのですよね♪ 
(^◇^)